第4回 スキー・フォー・ライト ジャパン

参加者の感想


last modified: 2004.3.1
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第4回 スキー・フォー・ライト ジャパンに参加して

青木 隆明 (スキーヤー・教員)

私にとって今回のプログラムは昨年に引き続き2回目の参加でした。今回も昨年同様存分にクロスカントリースキーを楽しむと共に、いろいろな参加者の方々と交流することができ、有意義な三日間を過ごすことができたと感じました。

前回もそうだったのですが、このプログラムに参加するとなにか次の日からの生活がわくわくさせられるもののように感じられました。なにか身近なところに楽しいことが転がっていそうな気持ちになるのです。

今回感想文を書くに当たり、私はなぜこのような気持ちになるのかを文章にしようと思ったのですが、いざ机に向かうとなかなか考えがまとまらず不精も手伝って一向に筆が進みませんでした。新年早々雪と戯れ体を動かすことで普段の運動不足が多少改善されるためだけではないことは確信が持てたのですが。

なにかヒントになることが書かれていないかと配布されたプログラムをぼんやり眺めていて私は「チャレンジ」という言葉が気になりました。私にとってSFL-Jでの「チャレンジ」はなんなのかを考えてみました。私はゲレンデスキーも好きで年に数回(今年は1回しか行けていないが)行くのですが、その時のチャレンジは「もっと急な斜面に挑戦してみよう」とか「もう少しスピードを出してみよう」といった自分にとってのチャレンジが中心であるように思います。SFL-Jにもこれらの要素がないわけではないのですが、私にとってもっと大きなチャレンジは、たわいのない話をしたり、休憩しておやつを食べたり、寄り道して新雪に踏みいり自然にふれたりする中で、自然に行われる「交流するチャレンジ」、「パートナーであるガイドを楽しませるチャレンジ」なのです。ゲレンデスキーを含めいろいろなスポーツやレクリエーションでこのようなチャレンジはあると思うのですが、SFL-Jはそれを強く意識させられる、それを実行する余裕があるプログラムであるように感じます。そしてこれらの「チャレンジ」が私の日常の中にも身近で自然な形でたくさんあることを再確認させられるのです。

今後もSFL-Jの参加をきっかけとして、私にとって気軽で楽しい「チャレンジ」を日常の中に一つでも多く作っていければと思っています。

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第4回 スキー・フォー・ライト ジャパンに参加して

竹中 三佳 (ガイド・学校職員)

「視覚障害者とクロスカントリースキーを楽しむ」というと、周りの人達は必ず驚いて「どうやって滑るの?」と聞く。説明するとだいたいは想像してもらえるが、ガイドとしての参加となると、誘ってもなかなか見つからない。「人を教えるほどうまくないから。」とか「自分のこともちゃんとできていないのに、人を助けるなんてまだまだ、、、。」などと敬遠する人も多い。

私のように、ほとんど初心者のくせに子連れで参加なんて、はっきり言って「逆ガイド」だと思うが、「上手になってから」などといっているうちに月日はどんどん過ぎていってしまう。

ガイダンスでクロスカントリースキーや、視覚障害者のガイド方法を教えてもらい、若いお兄さん、お姉さんに子どもと遊んでもらって頂きながら、ようやく私もペアの方と滑り出すことができる。(ガイドもなんだか試行錯誤で、スキーそのものよりも、おしゃべりのほうが多くなってしまって、私はいつも反省している。)

ところで、参加は今年で2回目になるが、スキーに限らず、視覚障害者と行動を共にしていると、いつも使っていない感覚を呼び起こされるようなことがよくある。彼らの要求を少しでも多く叶えようと、全神経を集中させたりして、脳のどこかに刺激を受けているのかもしれない。たとえば、健常者が一日目に目隠しでスキーにトライするとき、いつもは使っていないのか、気付いていないのか、わからないが、足の裏や指の感覚がとても鋭くなるし、耳もとてもよく聞こえるようになる。状況を聴覚だけで判断することの、新鮮さと難しさ。はじめは、障害者との「違い」に気づくばかりだが、終わりのころは、私にも「同じ」感覚が生まれてきている。(それでついガイドを忘れたりする!)

実際、初めて会う、それも自分と違う視覚障害者の人と、たった3日間位で同じ気持ちや目標を共有できるひととき、というのは(健常者にとっても)非常にエキサイテイングで、他ではちょっと味わえない、感動的な体験だ。そしてその経験は他の何かにもきっと役に立つと思う。

助ける側がいつのまにか助けられて、感謝してしまっている、そんなスキー・フォー・ライト ジャパンの全体の雰囲気は、みんな微笑んでいて、まるでひとつのユートピアみたいだ。ここまで理想や夢を実現できるスタッフの気配りと努力は大変なものだといつも敬服する。(いつも寝ないで仕事しているスタッフ達が、ここでも寝ていないようなので、心配になってしまう。)

今回は、海外からのゲストも多くて、彼らとの交流も素敵だった。全員が、食事を毎回和食を選び、笑顔で納豆まできれいに片付けていたシーンは、いまだに記憶に鮮やかである。私と同じシングルマザーであったNancyは、娘を "Cute! Cute!" といってくれたが、帰りのバスの中で、自分の娘のかわいい写真を見せてくれた。彼らとの(外見の)「違い」もまた、最後には(内面の)「同じ」となり、とても別れ難かった。

感想を書くとまだまだきりがないが、これから、もっともっと多くの健常者たちがSFL-Jを体験しに集まって、その経験をいろいろなところで活かしたり、他にもこのような団体が増えてゆけば、日本もどんどん変わってゆける、と思う。

みなさん、本当にありがとうございました。

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第4回 スキー・フォー・ライト ジャパン体験記

丸山 武 (スキーヤー・学生)

初めて、クロスカントリースキーを体験して最初に思ったことは、アルペンスキーと比べ、スキー板幅が半分、ジョギングシューズのような靴、ストックは長いことに驚いた。

実際、滑ってみると、歩くというよりもマラソン感覚で息が上がる、結構汗をかくウィンタースポーツである。休暇村のパンフレットをみると「美容と健康に効く、リフト代が不要なのでお得、リフト待ちしないので、休日の貴重な時間を無駄にしない。」と興味をそそるようなことがかいてあった。ちょっと予想外だった。以前までアルペン好き、いや、アルペンスキーに熱中していた。たぶん目が不自由になっていなければ、クロスカントリースキーをやっていなかったかもしれない。

とにかく、クロスカントリーは面白い。1.5kmと4kmのコースを滑ったが、長い距離だとは感じない。最初は手と足とのタイミングがつかめず、すぐに息切れしてしまった。パートナーの「大きく手を振り、大股で板を滑らすように・・・。」のアドバイスが功を奏してスピードがのってきて、だんだん余裕がでてきた。3日目のタイムトライアルで好タイムをだそうと、2日目は時間を計りながら4kmコースを滑ることにした。初めは、確かに50分ぐらいだったが、40分くらいになったのは言うまでもない。申告タイムレースでは、42分29秒と「ん〜、なかなかだ。」と思っているのは自分だけであろうか。

「パラリンピック参加に向けて、がんばるぞ!!」の意気込みで次回はチャレンジしたい。

パートナーの横溝さんとは、リハーサルをした訳でもなく『他己紹介』ではよい相方になってくれた。つかみはOK、もちろん雪の上、宿のなかでもそうである。2夜の宴会でも確か、3時か4時ぐらいまで飲んでいたと思う。まあ、こんなふうに3日間はあっという間に過ぎてしまった。

アルペンスキーをしていたころは、速く滑り降りることから、スピード狂(車の運転なども)だったのが、今はスピーチ狂(そうでもないかな?)になったのも、目が不自由になったおかげでそうなったかもしれない。

ここ最近、視覚障害者同士で会う機会が増え、出かけることが多くなった。その中で今回、50数名中半分が晴眼者という人たちで共にするということは、初めてだった。視覚障害者だけで何かをするということは行動面など限界があるし、以前に世間で騒がれた宗教団体のように周りから見られがちになるような気がするが、他の皆さんはどう思うだろうか。

改めて、「スキー・フォー・ライト ジャパン」が行っている交流会が「いろいろな立場の人々がお互いに身近に接することで、それぞれのニーズを理解し合いそのことを自分なりにアピールしていくことが重要」という目的につながるんだなと認識した。もっと自分でできることを探して、視覚障害者としての立場をアピールしていきたい。とにかく、「スキー・フォー・ライト ジャパン」に参加して、沢山の方々とお会いできてとても感謝している。また、皆さんと「スキー・フォー・ライト ジャパン」でお会いしたい。

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第4回 スキー・フォー・ライト ジャパンに参加して

横井 由実 (ガイド・学生)

一言で楽しかった。それは帰りの車中、言葉には言い表すことのできない充実感を持っていたことが証である。沢山の方々に出会え、話すことが、私自身の中でとても多くの収穫を得ることができたと考える。

今、人と関わりを持つ中で心に高い壁を作り、本当の意味での人との出会いを拒んだり、自己の殻の中に閉じこもっている人が多い。私自身も同じであった。しかし、今回参加した方全員が積極的に人との出会いを求めているように感じた。初めて会った時から既に何度もあったことのある感覚に捕らわれた。私もそのことに刺激され、戸惑いながらも人との出会いを求めるように努めた。その結果個性溢れる方々が沢山おり、その個性が一際輝いていることを発見した。とても羨ましく思うと同時に自分自身の未熟さを痛感した。私ももっと輝きたい。輝いていかなければならないと思うことができた。

私はスキー・フォー・ライトに参加するにあたって大きな不安を抱いていた。それは、沢山の初対面の方々と四泊も生活していけるのであろうか。クロスカントリースキー未経験の私にガイドが務まるのだろうか。パートナーの方の技術が勝り、足を引っ張るのではないか。パートナーとのコミュニケーションはうまく取れるのだろうか。とあげればきりがない。その不安を解消すべく前日から細かな指導があった。この指導が私の不安を緩和させ、本番へむけて勇気を持つことができた。また、どんな方とパートナーになるのであろうという緊張は今となっては楽しんでいたと思えるようになった。そして、実際に外に出て目を隠してお互いにガイドすることで、ガイドのポイントをつかむことができた。これが本番で大いに役立った。人と出会いを求めていく中で私は、アメリカから見えられた方とのコミュニケーションが壁となり、課題となった。中学の時点で英悟を諦めてしまった私は、どのように会話を楽しめば良いかわからずにいた。しかし、日を追うごとに彼らの英語を聴き取れることが増えてきたことに喜びを覚えた。また、ゲームで同じ事を共に楽しめたことが良かったと考える。そして、最終日のタイムトライアル終了後ナンシー等と雪合戦を楽しんだ。私自身このような関わりができることは参加した当初思いもしなかった。

中根さんとペアを組み、ガイドをするのに言葉に詰まったり、左右を間違えたり、初歩的ともいえる誤ちをしていた。また、安全確保のコツをつかむことができた。

青松さんをはじめとするスタッフの皆さん、本当にお疲れ様でいた。皆さんのお陰で私自身そして、参加者全員が充実感、満足感を得て帰宅したことを確信します。ありがとうございました。来年以降もこのような充実感を得たいと考えます。今後とも宜しくお願い致します。

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