第23回 スキー・フォー・ライト インターナショナル

日本からの参加者の感想


last modified: 2004.3.1

目次 (Contents)

SFL-J ホームページに戻る

スキー・フォー・ライト インターナショナルへ参加して

福留 史朗 (スキーヤー・会社員)

第23回スキー・フォー・ライト インターナショナルが、2月8日から15日までアメリカのニュー・ハンプシャー州ノース・コンウェイで開催されました。日本からは私と筑波大の大学院生の青柳さんの2名で参加しました。

私がスキー・フォー・ライトに興味を持ったのは、2年後に迫った長野パラリンピックの合宿で同室になった青松さんとの出会いからでした。日本支部の代表である彼から、スキー・フォー・ライトの話を聞いて、ぜひ参加し、自分自身で体験し、勉強し、何かを感じられればと思ったのです。それは私自身が視覚障害者のスポーツに関心が高く、国内・外での様子を知りたいと思っていたからでもあります。彼から見せてもらったスキー・フォー・ライトの報告書は、私をその気にさせるには十分でした。

それから2年後、やっと私の希望がかない参加の運びとなりました。私達は成田〜デトロイト〜ボストン〜ニュー・ハンプシャーというルートで移動しました。出発当日は長野オリンピックの開会式の日でもあり、その様子は成田空港のテレビで見ました。

約15時間の飛行を経て到着したボストンで私達は、スキー・フォー・ライト事務局が紹介してくれた老夫婦宅へホームステイをしました。その場所は空港よりハイウェイを40分くらい走った静かな住宅地で、話によるとリスなどの小動物も出てくるような場所でした。あたりには雪があり、少し寒く感じましたが、心温まる歓迎を受け、二人とも大喜びでした。青柳さんは英語が堪能であり、彼女のおかげで非常に楽しい時間が過ごせました。老夫婦も私達のことを大変気づかってくれて、最高の思い出となった一泊でした。

翌朝、私達は集合場所となっているボストン空港に戻りました。すでに何人かのスキーヤーやガイドが到着しており、私達も受付を済ませて、スキー場への出発を待ちました。昼食を済ませたあと、アメリカ留学中の内田君と予定通り合流できました。その後バスに乗り込み、ニュー・ハンプシャー州ノース・コンウェイのスキー・フォー・ライト会場へ向かいました。約3時間半のバスの旅です。私は時差ボケ(時差14時間)があり、道中ほとんど眠っていました。ホテルに到着しますと、ガイドとしてスキー・フォー・ライトに参加していらっしゃる、バージニア州在住の谷さん夫婦が出迎えてくださり、さっそくディナー会場へ案内して頂きました。6時30分頃だったと思います。夕食終了後、参加者の自己紹介が行なわれました。参加者数は、視覚・肢体不自由の障害者スキーヤー約110人、スタッフと健常者ガイド合わせて約170人、計280人でした。また、参加国はアメリカ、ノルウェイ、フランス、イギリス、オーストラリア、日本でした。翌日からの会が楽しみになりました。私の同室は内田君でした。英語ができない私に事務局が配慮してくれたものと思いました。

翌日は快晴です。私達の一日のスケジュールは、朝食後にクロカン・パークに移動し、10時頃から昼食をはさみ、午後3時頃までクロカンを楽しむというもので、最終日にはタイムレースが実施されました。

クロカン・パークへは車で約40分です。キャビンに荷物を置いて出ていくと、すぐ前からコースが始まります。雄大なワシントン山をバックにした、アメリカでも屈指のコースとのことで、各クラスに合わせて、10km、5kmなどあります。私もガイドの谷さんと、十分に楽しめました。雪もコースも最高でした。日本に比べ平地が長い上、バラエティーにも富んでいました。10kmコースの前半は、広葉樹の林の中をゆるやかなアップ、ダウンと繰り返し進み、中間にはロッジがあります。ロッジには温かいコーヒー、ココア、冷水が準備してあるなど、利用者に対する心使いも十分です。後半は、針葉樹の中をゆるやかに下って行きます。日本に比べて広く、とても滑りやすいコースで、参加者は十分満足されたことと思いました。日本のスキー・フォー・ライトと比べますと、キャビンからすぐコースに出られること、コースのおもしろさなどで、よく似通ったものであると思います。

週の中間日は雨となり、谷さん夫妻、私、青柳さん、アメリカ人のコリンさんと、ショッピングや食事を楽しんで一日を過ごしました。また、この日はコースにこそ行きませんでしたが、近くでボブ氏(谷さんの配偶者)と滑りました。それは直線のすばらしいコースで、どこまで滑っても直線です。なぜ…。私達が滑ったのは鉄道線路の上でした。これも私にとっては素晴らしい体験でした。日本で体験するのは不可能でしょう。

アフター・スキーには「タレント・ショー」、日本で言う余興大会が開催された夜もありました。前日の予選を突破した青柳さんも出場、みごとな美声を披露し、場内割れんばかりの拍手を浴びました。日本のスキー・フォー・ライトの手法とは違いますが、皆の気持ちを一体にしようという考え方は同じでした。また、ノルウェー・ナイトの日には、日本人4名がパーティーに招待され、とても素晴らしい雰囲気の中で国際交流を味わうことができ、大きな喜びでした。

最終日には、10kmタイムレースと申告タイムレースが実施され、私が10kmレースで優勝、内田君が申告タイムレースで入賞しました。表彰式を兼ねた最後のディナーの席では、同じテーブルの方々と喜びあいました。

今回のスキー・フォー・ライトに参加して強く感じたことは、参加者の多くが非常にポジティブであり、視覚障害者の現状に対して自分なりに疑問を持っていることでした。私は日本のスキー・フォー・ライトにも参加しましたが、まさにインターナショナルと同じプログラム(日数は違う)で行なわれていることがわかりました。しかし今後は、日本独自の「あり方」や「方式」を考えていくことも大切であると思います。また、ガイドのレベルアップも必要でしょう。そして何よりも、多くの視覚障害者の方々に、このスキー・フォー・ライトを知ってもらい参加していただきたいと思いながら、帰国の途につきました。

《目次に戻る》


SFL-J ホームページに戻る
Ski For Light - Japan (SFL-J) / info@sflj.org